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2004/5/24
個人情報漏洩の賠償相場が激変する?
 相変わらず連日のように、個人情報漏洩のニュースが報じられていますが、ここに来て損害賠償に関する動向が出始めたのでお知らせしたいと思います。

 ここ最近顕著に見られる「会員サービス登録情報」の漏洩ですが、ローソンやヤフーBBでは、発覚後の会員脱会防止に先手を打つべく発生直後、全会員に対して1人あたり五百円〜千円相当を配りました。

 これら一連の対応はマスコミでも大きく取り上げられ、いわゆる「詫び料」として、今後同様のケースでの相場になるのではないかという雰囲気が感じられたのですが、5月17日のニュースによると、ヤフーBBの460万人被害者の内3名が「データは従業員が不正に持ち出した可能性が高く、運営会社は顧客情報を適切に管理する義務に違反しており、従業員の監督責任を怠った」と主張し、1人当り10万円の賠償金要求訴訟を起こしたそうです。

 最終的な判決がどの程度の金額になるかは、判例もないことから予測がつかず、仮に10万円が妥当という判断が下ってしまえば、その後は全員訴訟に発展し、実に4,600億円という膨大な賠償金が発生してしまうことになります。しかしヤフーBBに関して言えば、情報漏洩に起因する大きな実害発生が今のところ報告されていないことから、そこまでの事態に至る可能性は少ないと言えるでしょう。


 それとは対照的に、三洋信販の顧客名簿流出事故はかなり深刻で、漏洩したリストに載っていた会員個々への架空請求事件が続出しており、最近の発表によると総被害額が1億1,000万円にも上っていることから、この116万人分の情報漏洩事件は、実害を受けない人でも精神的苦痛として慰謝料を求める集団訴訟を起こす可能性が極めて高く、最終的な賠償金総額は三洋信販に相当なダメージを与えてしまいそうです。

 2年前、京都府宇治市の市民情報漏洩事件で、市民数名が一人あたり30万円の賠償訴訟を起し、賠償額1万円+訴訟費用5千円の判決が出て、これが一つの基準と言われてきましたが、闇ビジネスへ流出することによる複合的な被害に加え、様々な形での個人情報漏洩に国民全体が関心を高めている点と、訴訟社会であるアメリカの例を引用する動きも見られることから、いずれにせよ賠償額のインフレ化は避けられそうもありません。

 その一方で先日、ここ一年の間に漏洩事故を繰り返した企業のセキュリティ担当責任者とお会いしたのですが、ここに至ってなお、現状経費との比較を最重要課題とされているのには驚きを隠せませんでした。
 今後事業者がセキュリティ対策を論ずる時、コスト面で事故が起きたときにかかる費用の算定から目をそむけることはできない時代に来ていると思うのですが・・・。

結城 寛
潟Zキュリティクリニック 所長
鞄本パープル
 SEマネジメント開発室 マネージャー

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