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2004/10/1
「箱詰め文書溶解処理」研究 前編
『お預かりした重要書類を、一切中身に触れる事無く、段ボールごとパルパーに投入して溶解します!』

このようなキャッチコピーの元、書類を詰めて封緘したダンボール箱を、製紙工場で紙の繊維を抽出するために用いられるパルパーという機械に開封することなく投入することで、文書の機密抹消をはかるというビジネスが古紙回収業者のみならず宅配、事務機器メーカーなどの業種を介して紹介されています。

 この種の原料回収の方法は10年以上前から始まっており、私の知る限り、静岡の某製紙工場が始めたのが最初で、古紙回収業者を主体にシュレッダーメーカーなど、様々な業界に対して工場への持ち込みを促す営業戦術で、本年初めには神奈川県川崎市に新たな工場をオープンさせました。

 この工場に限らず、原料調達コストの優位性から、今日複数の製紙工場が「段ボールごと溶解します」とPRしています。この段になって何ゆえ製紙メーカーがこのようなアクションを起こし始めたのかは、当トピックスの前段、「環境塾」で昨年6月と7月に取り上げた「古紙市場からふたたび狙われはじめた機密文書」を改めてお読みいただくとして、今回はこの「箱詰め文書溶解処理」システムが、果たしてどの程度の環境貢献や情報セキュリティ対策に成り得るのか?という視点で掘り下げてみたいと思います。

 人事異動・年末年度末・オフィス移転・保管期限切れ保存文書等、いざ大量に処理すべき重要文書が発生した場合に、これを情報セキュリティの視点で適正処理を講じるべく、オフィス型シュレッダーで処理しようなどと考えたところで、実際にはとても賄いきれるものではありません。

 以前なら自治体の清掃工場に持ち込み、焼却炉に投入するという手段が、廉価で安全な手段として重宝されていましたが、それがままならなくなった今日、「段ボールごと溶解しリサイクル」というフレーズはさぞかし興味を引く言葉だと思います。しかも製紙工場によっては、段ボールの中に雑多に詰め込んだ書類にバインダーやクリップ等の不純物が混じっていても、そのままでかまわないというのですから、頭を抱えているご担当者にしてみれば渉りに舟といったところではないでしょうか?

 本来なら、自らシュレッダーし情報抹消するべき極めて機密性の高い書類が混じっている事を考えると、委託先である第三者の手に触れるとか、目に入るという工程はセキュリティ上の問題であり、そのまま段ボールをパルパー投入し溶解されるというシステムであれば、理論上はセキュリティの問題はクリアされることになります。加えて見積もり価格が焼却処理の時より安価だったケースさえあるようです。

 ここまでのニーズとメリットの解説では、いいコトずくめな方法のようですがが、果たして側面に隠されたデメリットは無いのでしょうか?
次号では、こうした製紙工場の現状と共に、フローに隠れた問題点を抽出してゆきます。

※写真は都内某所で行われていた『溶解処理』による文書回収の様子。廃棄用として専用ダンボールまで製作している様子が見てとれるのだが・・・。

結城 寛
潟Zキュリティクリニック 所長
鞄本パープル
 SEマネジメント開発室 マネージャー

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